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コラム詳細

離婚訴訟における破綻主義2019.01.25

 離婚に関するネットのコラムや解説で必ずと言っていいほど,有責主義から破綻主義へ,あるいは,消極的破綻主義から積極的破綻主義への変遷という記事が載っています。

これは,旧民法では,離婚を請求するには相手方の責任を必要とする「有責主義」と呼ばれる考え方で規定されていたことによります。

 現在の民法では,法定離婚事由が列挙されていますが,その事由が何であれ,夫婦の一方が婚姻を継続し難いと主張し,裁判所が婚姻の継続が相当ではないと判断すれば,離婚が認められることになります。その意味では,現在の民法上では,破綻主義が規定されていると考えることも出来ます。実際に,最高裁で積極的破綻主義の立場を示したとされている判決が出されたのは,昭和62年9月2日です。つまり,もう,30年以上も前のことになります。

 しかし,相手方が自ら不貞行為や別居状態を作出したり,例えば「飽きたから出ていけ」とする追い出し離婚までも認めることは,不合理です。他人である男女が婚姻するとき,制約のない自由恋愛とは違い,生涯のパートナーとして相手を信頼し,少なくとも婚姻の時点では愛情と覚悟を持っていた筈です。そして,婚姻で生じる様々な責任も負わなくてはなりません。離婚したいと思っただけで一方的に離婚できるとすれば,婚姻制度は何のためにあるのかということになり,有責配偶者からの離婚請求を安易には,認められないというのが,今でも裁判所の離婚に関しての基本的な考え方です。ただし,これは,裁判所が有責主義を維持しているわけではありません。婚姻が夫婦の愛情と協力扶助で継続していく前提でありながら,完全に愛情を失った一方が,離婚の訴えを退けられ婚姻の継続を半永久的に強制されるのもそれなりに問題が残ります。そこで,自分の方から離婚請求する場合,現在の裁判所は純粋な積極的破綻主義にはなっていませんが,総合判断で,ケースバイケースで,特に別居期間が長期間になった場合に,破綻したとして離婚を認める方向にあります。家庭裁判所に離婚事件が移管される前に,裁判官として,地裁の民事事件を担当していた頃,一般の民事事件の一部として離婚事件を担当していたことがあり,それなりの数の離婚判決を書いたことがありました。その一つとして,自ら不貞行為をして別居期間が5年未満でしたが,それ以前から夫婦関係は事実上破綻しており,離婚調停を多数回提起し,子供達にも全員大学を卒業するまでの学費を負担し,配偶者にも生活費として十分な額を渡しており,今後も金銭的援助は負担する意思を有していたケースに関して,相手方は一生戻ってくるのを待つと言っても夫婦関係は形骸化しており,今後も改善への展望もないとして,離婚を認める判決をしたことがありました。今は,弁護士として裁判官の時の事実認定の苦労を思い出しながら,依頼者のためどのような解決をするのがベストかを考えながら訴訟に望んでいます。

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