コラム詳細
不倫と浮気との境界線は2020.02.28
1 どこからが浮気?
浮気や不倫の典型的な行為が性行為・肉体関係であり、このような行為があれば不貞慰謝料を請求できる(請求される)可能性が高いといえます。
では肉体関係を伴わない行為、たとえばデートをする、手をつないだりキスをしたりする、という行為は不倫にあたるのでしょうか?
そこで、今回は、どのような行為があれば慰謝料請求ができるのかを解説していきます。
2 不倫・浮気の意義、名称
「不倫」や「浮気」というのは、法律用語ではなく、法律上は民法770条1項1号に離婚事由として規定されている「不貞」のことをいいます。
3 性行為や肉体関係は不貞の必須要件か
この点について、裁判例においては、「第三者が相手配偶者と肉体関係を結んだことが違法性を認めるための絶対的要件とはいえない」と判断されており、性行為・肉体関係を伴わない行為であっても、婚姻関係を破綻に導く可能性のある行為は、不貞行為になると理解すべきです。
そうすると、性行為・肉体関係以外にも、たとえば性交類似行為、同棲などの行為が考えられ、このほかにも婚姻関係を破綻させる可能性のある異性との交流・接触も不貞行為に該当することがあります。
4 愛情表現を含むメールを送ることは不貞行為か
不貞相手との間で、「大好き」、「ずっと一緒にいたい」、「会いたい」などの愛情表現を含む内容のメールを送ること自体は、不貞行為となるのでしょうか。
これについては、不貞行為となる可能性があります。
このようなメールのやりとりを、不貞被害者となった配偶者が知れば、自身の配偶者が他人と恋愛関係にあり、場合によっては肉体関係を持っている可能性すら感じさせるものであり、婚姻生活の平穏を害するようなものであるといえることから、不貞行為が成立しえます。
ただし、性行為・肉体関係がある場合に比べて、その違法性が軽微であることから、慰謝料額は低額にとどまる可能性が高いです。
5 手をつないで歩くことは不貞行為か
手をつないで歩く行為そのものは、基本的には不貞行為に該当しないと考えられます。
ただし、特定の相手と頻繁に手をつないでいる様子がうかがえるなど、その状況等によって不貞行為があったと推認できる場合には、不貞行為に該当することがあります。
6 異性と2人で会うことは不貞行為は
この行為も、それ自体が不貞行為になるということはありません。
ただし、これも手をつないで歩くことと同じように、その状況等によって不貞行為があったと推認できる場合には、不貞行為に該当することがあります。たとえば、かつて不貞関係にあった二人が、深夜の時間帯に面会をしていたような場合には、不貞行為に該当する可能性があります。
7 不貞にあたるか悩んだら
配偶者に異性の影があるが、肉体関係の証拠まではつかめていないという場合でも、不貞慰謝料請求をできる場合があるということがお分かりいただけたかと思います。
ただし、性行為・肉体関係があるかないかによって、慰謝料の金額は、大きく変わってくることには留意すべきです。
