東京銀座の元裁判官高橋隆一弁護士による離婚・慰謝料相談

初回60分相談無料

  • 047-769-6882営業時間 平日 9:00~20:00
  • 24時間相談予約

コラム詳細

離婚後の戸籍と氏について2019.11.28

はじめに

離婚した後、原則女性配偶者の戸籍や氏は結婚前の戸籍に戻ることになります。一方、男性配偶者である筆頭者は、身分事項欄に離婚の事実が記載されるのみにとどまり、もとの戸籍に戻ることはありません。

 

婚姻の際、氏に関しては夫または妻の氏のどちらかを名乗ることができますが(民法750条)「嫁に行く」という習慣に習っていたのであれば、離婚時に女性は婚姻前の氏(旧姓)に当然戻る「復氏」の手続きを行うことになります。

 

今回は、離婚後の戸籍や氏に関する手続きについて解説します。

 

 

■離婚後の氏と戸籍に関する手続きは3つの選択肢がある

一般的に、妻は筆頭者である夫の戸籍に入るケースが多いと思いますので、夫は離婚後も基本的にはそのままですが、妻は離婚後に戸籍や姓をどうするか、妻自身が3つの選択肢の中から選ぶことができます。

 

◆1:旧姓(親の戸籍)に戻る場合

妻が旧姓に戻る場合、離婚前に入っていた親の戸籍に戻る手続きをするのが一般的(復籍という)です。

 

具体的な手続きとしては、離婚届の「婚姻前の氏に戻る者の本籍」欄にある「妻はもとの戸籍にもどる」にチェックを入れるだけで済みます。

 

 

しかし、両親がともに他界している(戸籍が除籍されている)場合は、もとに戻る戸籍がないため、旧姓の新しい戸籍を編製する手続きが必要になります。もちろん、ご両親が健在の場合でも、旧姓で自分を筆頭者とした新たな戸籍を作ることも可能です。

 

◆旧姓で新たな戸籍を作る場合

新戸籍を編製する際、本籍地はどこにしても良いとされていますので、原則自由に選ぶこともできますが、今後戸籍を取る必要が生じた場合に、最寄りの役所で取得できますので、離婚後の住所地を本籍地とするのが便利ではあります。

 

具体的な手続き方法としては、離婚届の「婚姻前の氏に戻る者の本籍」欄の「妻は新しい戸籍をつくる」にチェックを入れれば完了です。

 

 

◆離婚時の姓で新しい戸籍を作る場合

離婚後も婚姻時の姓を名乗り続ける場合、離婚から3か月以内に「婚氏続称の届」を提出すれば、結婚時の姓をそのまま名乗り続けることも可能です。

 

婚氏続称をするには、離婚届の「婚姻前の氏に戻る者の本籍」欄には何も記載せず、「婚氏続称の届」(戸籍法77条の2の届)を本籍地または住所地に出すことになります。

 

「婚氏続称の届出」は、全国の市区町村役場の戸籍担当窓口でもらえます。自治体によってはホームページからダウンロードできることもありますので、最寄りの市役所のHPを確認してみましょう。

 

注意点として、一度届出をしてしまうと、3か月以内であっても取り消しはできず、旧姓に戻るためには裁判所の許可が必要となってしまいますので、よく考えて選ぶようにしましょう。

 

ちなみに、3ヵ月の期限を過ぎてしまっても「そのままの氏が名乗れなくなる」訳ではありませんが、離婚後3ヵ月以上経ってから、結婚時の氏を名乗りたいと思った場合、「氏の変更許可の申立て」(戸籍法107条1項)を家庭裁判所に対して行う手間がありますので、覚えておきましょう。

 

 

■離婚後の子供の氏と戸籍について

本人同士の氏・戸籍に関しては上記の通りですが、子供がいた場合の氏や戸籍についてもご紹介します。

 

◆父の戸籍で結婚時の氏を名乗る場合

あまり知らない方も多いと思いますが、親権に戸籍は関係がありませんので、離婚時に母親が親権者となった場合でも、子供が母親側の戸籍に入ることはほぼありません。つまり、子供が父親の戸籍を継続した場合や、苗字を変える必要が無いなら特に手続きは必要ありません。

 

つまり、母親が親権者かつ旧姓に戻った場合でも、親権者である母親と子どもの氏が異なるケースがあります。余談ですが、子供の氏が変わることを気にして、親権者である母親が『婚氏続称の届出』をした場合、「婚姻中の氏」と「続称手続をとった氏」は、法律上は別の氏という扱いをされます。

 

母親:田中 → 田中A(婚氏続称の届出後の氏)

子供:田中 → 田中(婚姻中の氏)

 

このままでは、子供が父親の戸籍に入ったままとなり、母親としては耐えがたいと考えるケースもあるでしょう。

 

そのため、離婚前の氏のまま、戸籍だけ母親の戸籍に入れるという選択肢もあります。

 

◆母の戸籍に入れて結婚時の姓を名乗る場合

手続きの方法ですが、大まかには以下のとおりです。

 

  1. 家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立書」を提出
  2. 家庭裁判所から審判書を受け取る
  3. 役所で子供の入籍書を提出する

 

◆母の戸籍に入れて母の旧姓を名乗る

親が婚姻前の戸籍に復籍した場合、戸籍の筆頭者ではないと子どもが氏を変更しても、そのまま戸籍に入るわけではありません。この場合は、母親を戸籍の筆頭者とする新戸籍を作ることになります。

 

戸籍も苗字も母親と一緒にする方法なので、手続きについては上でご説明したとおりです。

 

■まとめ

離婚後の氏と戸籍に関してはこのようになります。子供の氏や戸籍の変更については少々面倒な手続きとなりますが、子供にとって両親は基本的には好きな人間2人ですので、親権者の決定以上に、自分の戸籍に入れたいという願望が時に子供にストレスを与えることもありますので、手続き等に移る際は、よく話し合い、納得した上で行っていただければと思います。

ちょっとした質問やご相談だけでもお気軽にどうぞ

  • 047-769-6882営業時間 平日 9:00~20:00初回60分相談無料
  • 24時間受付ご相談予約
東京銀座の元裁判官高橋隆一弁護士による離婚・慰謝料相談