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不倫相手との交渉を上手に進めるためのポイント2019.09.10
配偶者の不倫が判明した際、不倫相手に対してどのような感情を抱くでしょうか?憎悪や嫌悪といった感情が湧き出るとともに、慰謝料を請求したい、もう二度と会ってほしくないと思うかもしれません。そのための第一歩が相手との示談交渉です。不倫相手との交渉で気をつけるべきことと、上手に進めるためのポイントをご紹介します。
あらかじめ「言い逃れできない証拠」を確保しておく
交渉を始める前に、不倫の証拠を用意しておきます。交渉の場で不倫の事実を否定し、慰謝料の支払いを拒否したときなどに証拠を提示すれば相手も言い逃れができないからです。万が一裁判で争うことになったときも、証拠が有利にはたらきます。
証拠の内容はホテルに出入りしているところの画像など、明らかに肉体関係があったことがわかるものがいいでしょう。メールやLINEなどで「愛してる」「また会いたい」などのメッセージは証拠として弱く、慰謝料の請求が難しくなります。同様に、「あなたの配偶者が他の異性と手をつないで歩いているところを見た」といった目撃情報も証拠としては不十分です。
確実に証拠を得るためには探偵事務所などに依頼して現場を押さえてもらいましょう。金銭的な負担はありますが、精神的な負担は大幅に軽減されます。
交渉のポイント
示談交渉では相手はたいてい、減額を申し出てきます。そのため、はじめに請求する金額は相場と同じくらいか少し高い金額から交渉を始めましょう。譲歩を見せることで話し合いがスムーズに進むこともあるからです。
また、実際に浮気相手と顔を合わせた時は、激高したり感情的になったりせず、冷静になることが大切です。相手に暴言を吐いたり、暴力をふるったりするのもNGです。「不倫していたことを周囲にばらす」と発言するのも脅迫行為にあたり、さらなるトラブルのもとになるので、こうした感情的な発言も控えましょう。
示談交渉を行う場所として避けた方がいいところがあります。
〈避けた方がいい場所〉
・自宅
・ファミレス、ファーストフードなどのにぎやかな場所
・居酒屋やバーなど、飲酒がメインのお店
自宅は身の危険が迫ったときに助けを求められないので、第三者がいる場所を選びましょう。その際、にぎやかなお店は周囲の騒音が気になりますし、飲酒がメインのお店ではお酒を注文して交渉が進まなくなることもあるので、避けた方が賢明です。ホテルのラウンジや静かな喫茶店など、あらかじめ示談交渉できそうな場所を探しておくと良いでしょう。
そして、相手との示談交渉の際に使用する次のものを持参します。
〈持ち物〉
①通知書(慰謝料請求書)2通
不倫の事実とこちらの主張が書かれた書類です。あらかじめ準備しておき、示談交渉の場で不倫相手に読み上げてもらいます。
示談書2通
話し合いの末、慰謝料の金額や支払い方法などで合意にいたった際に作成するもので、次の項目を記載します。
・事実の確認(不倫にいたった経緯など)
・相手からの謝罪
・慰謝料の金額、支払い方法、支払期限
・もう二度と2人で会わない約束をする文言
・不倫の事実を口外しない約束(守秘義務)
・これ以上慰謝料を請求しない約束(清算条項)
・示談成立日
・当事者の住所、氏名
②印鑑と朱肉
示談書に印鑑を押します。不倫相手も印鑑があれば押してもらいましょう。ない場合は拇印でも構いません。ただし、後々のトラブルを防ぐため、不倫相手の捺印または拇印を強要しないよう注意しましょう。
③ボールペン
示談書作成の際に使用します。
④ボイスレコーダー
不倫の事実を認め、慰謝料を請求する根拠があることを残しておくことができます。他にも、後々に「慰謝料の支払いを強要された」「無理やり署名させられた」などといった言いがかりをつけられたときにも安心です。
なお、交渉中に不倫相手からいろいろなことを質問されることがありますが、基本は「書面に書いてある通りです」と答えるにとどめます。余計な話をしてトラブルに発展することもあるので、話し合いは終始簡潔なやりとりを徹底しましょう。
交渉が決裂したときは裁判を辞さない姿勢を示す
不倫相手の態度次第では、調停や裁判を起こすことを伝えましょう。具体的には
・慰謝料の支払いを拒否した
・法外な減額交渉をしてきた
・「今は合意できない」「時間がない」などの理由でその場での合意を拒否した
このような態度が見られた場合に、「それなら裁判で話し合いましょう」と伝えてみます。ひとたび裁判を起こされれば解決までに時間がかかるだけでなく、不倫相手も弁護士費用などのお金がかかるので、たいていの場合は示談交渉で解決しようとします。それでも相手が態度を軟化しなければ、裁判での解決を図ります。
不倫相手と交渉する前に弁護士に相談を
不倫相手と対峙するのは精神的に大きな負担になることを覚悟しなければなりません。心構えや、話しておかなければならないことなど、あらかじめ整理しておいて進めていくと良いでしょう。ですが、こうした不倫相手との交渉の前に、離婚などに詳しい弁護士に交渉前に相談することをおすすめします。
弁護士なら第三者かつ法律の専門家として、示談交渉についてアドバイスができます。どうしても相手と会いたくなければ、弁護士が代理人として出席して交渉するだけでなく、通知書の作成から慰謝料が支払われるまでの一連の手続きをすべて弁護士に任せることも可能です。不倫相手と交渉する際は、離婚関係に詳しい弁護士にお気軽にご相談ください。