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離婚して年金分割を行う場合の注意点2020.01.23
【はじめに】
年金分割とは、婚姻期間中に支払った保険料は夫婦が共同で納めたものとして計算する制度です。専業主婦の場合、夫が支払った保険料の一部(最大50%)を妻が払ったものとして、将来の年金額が計算されます。
今回は、離婚時におこる年金分割の注意点についてご紹介します。
■年金分割の手順と制度上の注意点
年金分割制度には「合意分割」と「3号分割」の2つがあり、
合意分割とは、2007年4月1日以降に離婚した夫婦で、婚姻期間中に配偶者が納めた厚生年金の標準報酬額に応じて分割できる制度。3号分割とは、2008年4月から離婚をするまでの期間内に、配偶者が納めた厚生年金の標準報酬額の50%を、配偶者の合意なしに受け取れる制度です。
では、合意分割と3号分割、それぞれの手順と注意点をお伝えします。
◆合意分割の手順
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情報提供通知書を用
まずは「年金分割のための情報提供通知書」が必要になります。「情報提供請求書を」作成を日本年金機構のホームページからダウンロードし、情報提供請求書を年金事務所に提出しましょう。
1ヶ月程度で情報提供通知書が郵送されてきます。窓口での受け取りも可能です。
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按分割合を決定
次に、分割する年金の按分割合(あんぶんわりあい)について話し合います。配偶者の同意がなければ成立はしませんが、出来る限り分割の上限である50%の年金をもらえるように主張しましょう。
無事に年金分割について合意に至った場合は、標準報酬改定請求書を用意しましょう。
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年金事務所に提出
標準報酬改定請求書の用意ができたら、年金事務所に提出しましょう。年金事務所には夫婦2人で出向く必要があり、一緒にいくのが難しい場合は委任状を用意すれば代理人を立てることができます。
提出の際の必要書類は・・・
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年金分割の同意書
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夫婦の戸籍謄本
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夫婦の年金手帳
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もし話し合いで合意できない場合は、調停・審判へ
夫婦間で年金の按分割合を決定できなかった場合は、家庭裁判所に調停の申立てをしましょう。調停委員が夫婦の間に入り、話し合いを行います。夫婦のそれぞれが納得できるよう、双方の言い分や事情を考慮しながら決定できるように進められます。
◆3号分割の場合
2008年以降に結婚した夫婦が離婚に伴い年金分割をする場合は、3号分割を利用します。夫婦の年金手帳と戸籍謄本を用意して、年金事務所に行きましょう。この場合は合意分割で用意した情報提供通知書を用意する必要はありません。
■年金分割ではいくらの年金がうけとれるの?
実際のところ、年金分割をすればどのくらいの年金がもらえるのでしょうか。
◆50歳以上の場合
情報請求書を提出した後に「年金分割を行った場合の年金見込額のお知らせ」が届けられますので、そちらで確認できます。
◆50歳未満の場合
50歳未満の方は自分で計算をして大まかな見込額を出すことができます。1年間の厚生年金の加入で額面月給(ボーナスは月割して加算)の約6.6%が1年間の年金額になります。
夫の額面月給×6.6%×年金分割の割合×婚姻期間=年金見込額
妻:専業主婦
夫: 1ヶ月あたりの給料が50万円
婚姻期間:30年
上述の計算式に当てはめると以下のようになります。
50万円×6.6%×50%×30年=495,000円
よって495,000円の年金がもらえることがわかりますね。月換算すると、41,250円/月です。
