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離婚後の再婚禁止期間と再婚のタイミングは?破るとどうなる?2019.06.23
離婚後の男女には、ひとつの大きな違いがあります。それは「再婚禁止期間」です。男性には、再婚の制限がない一方で、女性には「子どもの父親が誰なのかを特定するための期間」が必要だからです。ここでは、再婚が禁止されている期間と、再婚可能なタイミング、再婚禁止期間を破るとどうなるか?などについて解説します。
再婚禁止期間とは?
女性は、離婚してから100日間、再婚ができません。かつては6か月だったのですが、2015年に法律が変わり、100日へと短縮されました。これについては、民法第733条に規定があります。
“第733条 (再婚禁止期間)
1.女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
2.前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合
二 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合”
女性からすれば、不平等な取り決めに感じるかもしれませんが、生命が誕生する仕組みの関係上、仕方ないことだといえます。
なぜ再婚禁止期間は100日なのか?
再婚禁止期間が100日である理由は、民法の第772条に記載されています。
“第772条 (嫡出の推定)
妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。”
このように「離婚後300日以内に生まれた子どもは前夫の子ども」かつ、「結婚後200日を過ぎて生まれた子どもは現夫の子ども」という具合に定めています。つまり「離婚した日に再婚し、201日目から300日目までに妊娠が発覚したとき、どちらの子どもか推定できない」という問題が生じます。
つまり、重複している100日間に生まれた子供が、どちらの子供なのか特定できないのです。この「重複する可能性のある100日間」の問題を解消するために、離婚後100日間は再婚を禁止しているわけです。
再婚できるタイミングはいつ?
再婚禁止期間を経過したあと、つまり離婚してから100日目以降が再婚のタイミングといえます。ただし「絶対に100日経過しなければいけない」という意味ではありません。要は、離婚時に妊娠していないことを証明できれば問題ないのです。これは、前述した第733条の2項にも記載されています。
“第733条の2
2.前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合
二 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合”
「離婚後に出産済みであること」や「離婚時に妊娠していないこと」を証明できれば、100日という制限はありません。
再婚禁止期間を破ったときに罰則はある?
離婚時に妊娠していたにも関わらず、再婚禁止期間(100日)を経過する前に再婚した場合でも、罪にはならず罰則もありません。
ただし、デメリットは存在します。それは、「父親が前夫と現夫のどちらの子かを、裁判所が判断する」ということです。本人や子供の意思が及ばないところで決められてしまうため、後々の家族生活に支障をきたす可能性があります。できれば再婚禁止期間は守り、不安を解消した状態で再婚するようにしましょう。
離婚や再婚の相談は経験豊富な弁護士へ
離婚を経て再婚に至るまでには、さまざまな心理的葛藤があるかと思います。
また、妊娠という繊細な問題が絡むことで、再婚が難しいのでは?と感じる方もいるようです。もし、再婚禁止期間や再婚のタイミングについて疑問がある場合は、離婚に強い弁護士のサポートを受けてみてください。