コラム詳細
ダブル不倫なら慰謝料はどうなる2020.02.17
1 ダブル不倫とは?
ダブル不倫とは、配偶者がいる者同士の不倫のことです。
このような場合、被害者が2人いることになります。つまり、妻がいる男性と、夫がいる女性が不倫をすることになるので、それぞれの妻ないし夫が、不貞行為の被害者ということになるのです。
このような場合、不貞慰謝料請求権を持つのは誰なのか、またその金額はどのようになるのでしょうか。詳しく解説していきます。
2 不貞慰謝料とは?
一般的に、配偶者がいる者は、自身の配偶者以外と肉体関係をもってはいけないという義務を負っています(貞操保持義務)。この義務に違反して他者と肉体関係を持つことで、それが民法上の不法行為(民法709条)にあたり、配偶者が負った精神的苦痛に対して賠償する責任を負います。それが不貞慰謝料です。
3 ダブル不倫の場合の慰謝料請求は?
つまり、ダブル不倫の場合、不倫された妻・不倫された夫の2人が、それぞれの配偶者と不貞相手に対して慰謝料請求権を取得することになります。
ここで、問題が生じることがあります。
たとえば、不貞の被害者となった妻Aが、夫Bとは離婚しないことを前提に、不貞相手の女性Cに対して慰謝料請求をするとします。
ここで、たとえば不貞相手女性Cの自宅に、内容証明郵便で慰謝料の支払いを求めた場合、その女性の夫Dも、妻の不倫を知ることとなります。そこで、不貞された夫Dから不貞相手男性Bに対して慰謝料を請求することが考えられます。
この場合、不貞した男性Bは、当然Dに対して慰謝料を支払わなければなりません。このとき、AとBは離婚しておらず、夫婦の家計(お財布)は同一ということになります。
そのため、Aとしては、不貞慰謝料請求をすることによって、今度は自らの夫が慰謝料請求を受けることとなり、自らの家計にもダメージを受けるということになります。
反対に、AB夫婦が、不貞をきっかけに離婚することになり、家計が別になるのであれば、AはCに対して慰謝料請求をしても自らのお財布で負担しなければならない慰謝料はないことになります。
4 不貞慰謝料の金額
不貞相手に請求できる不貞慰謝料の金額は、不貞行為の態様や頻度、期間などによって異なります。
そのため、場合によっては、不貞の被害者となった妻Aとしては、自身が不貞相手女性Cからとれる慰謝料の額と、DからBに対して請求できる慰謝料の額とを比較して、前者の方が高くなる見込みが高ければ、慰謝料請求に踏み切るべきといえるでしょう。
ただし、慰謝料額を予測するということは、容易ではありませんので、この点についてはよく弁護士に相談する必要があります。
5 まとめ
ダブル不倫の場合、両夫婦から互いに慰謝料請求ができるということになり、実際に慰謝料請求に及ぶのか否かについて、慎重に検討することが必要です。また、ダブル不倫でいや料請求を受けた場合、それがまだ配偶者に発覚していな段階では、それを打ち明けるかどうかによっても、その後の展開は変わってきます。ダブル不倫で困ったら、迷わず、弁護士にご相談ください。
