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コラム詳細

財産分与調停の手順2020.03.05

1 財産分与とは

日本の民法では、夫婦財産について別産制を基本的に採用し、婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で所有する財産)とする建前です。しかし、夫婦間に経済格差があり、一般的には、夫の所得のほうが妻側の所得を上回る家庭が多いことから、不動産を中心として夫名義の不動産のほうが妻を上回ることが一般的です。そこで、こうした夫婦間の財産格差を、離婚にあたって調整するのが財産分与の制度であり、夫婦間の実質的共有財産の清算、離婚後の扶養等の観点から、一定額の財産給付を求めることができるとするものです。

 

2 財産分与の基本的な算定方法

実務上では、夫婦の全体財産を、夫婦の所有名義ごとに分けて、各当事者名義の純資産を計算し、それを比較し、それら財産形成への夫婦の寄与が均等であるという一般的な事例では、財産分与後の所有名義の財産が均等になるように財産分与額を決めるという方法で行うのが主流です。

たとえば、妻から夫に対する財産分与の申し立てで、夫の総資産1000万円、妻の総資産200万円という場合だと、財産分与額は、夫婦の全体の総資産の2分の1から、すでに妻名義となっている資産額を控除して求められます。計算式で表すと、次のとおりとなります。

財産分与額=(1000万円+200万円)÷2-200万円

=400万円

 

3 財産分与の基準時

夫婦の財産は、夫婦の生産及び消費活動の結果、増えたり減ったりするのが普通であり、財産の価値自体も物価の上昇・下落などの社会的要因等によって変動することがあります。そこで、どの時点を基準として、財産分与の対象となる財産を確定し、これを評価するかが問題となります。

まず、分与対象財産の確定という意味では、婚姻関係破たんの時期を確認する必要があります。財産分与は、夫婦が共同して築いた財産を清算する制度なので、夫婦間の経済的な協力関係が終了した場合、それ以降の財産は夫婦共有財産とはいえません。財産分与にいう婚姻関係破たんの時期とは、一般的に別居時や、離婚調停申立て時を指します。

 

4 特有財産

婚姻関係破たん時に有していた夫婦の財産がすべて分与対象財産になるわけではありません。財産分与は、夫婦で協力して築いた財産を清算する制度ですから、夫婦がそれぞれ個人的に築いた財産は、財産分与の対象となりません。このような財産を「特有財産」といいます。

たとえば、結婚前から所有していた財産、婚姻中に相続した財産、親族から贈与を受けた財産などは、特有財産となります。

 

5 財産分与調停における手順

財産分与調停においては、まず財産分与の基準時を、当事者の主張をきいて確認します。

次に、その時点で存在した夫婦の互いの財産を開示します。たとえば、預貯金であれば残高証明や取引履歴、不動産であれば査定や評価証明などで、その時点の価値を証明します。これらの財産の中に特有財産が含まれている場合には、それを裏付ける資料を提出する必要があります。たとえば、婚姻直前の預金額を証明するためには、その時点の残高証明や取引履歴を取り寄せる必要があります。10年以上前の履歴は、保管期間経過により取得できないことが多いので、注意が必要です。

このような過程を経て、財産分与について話し合い、合意ができれば調停成立となります。反対に、合意ができなければ、調停は不成立となり、審判に移行します。

審判は、調停と違い話し合いではなく、裁判官が最終的に証拠に基づき判断します。

 

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